マツドサイエンティスト・研究日誌 保存版
ハンダ付け

初出:2007年05月31日 元々のブログ・コンテンツへのリンク
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ちょっと作るものがあって、連日帰宅後にハンダ付けを行って居る。回路規模が大きいので、水城君と手分けして居るのだが、それでも量が多い。今のペースで続けても後一週間はかかりそうだ。これだけ大量の半田付けを行うのも久しぶりだ。

私の電子工作歴は、小学校の時代までさかのぼることができるが、本格的な製作は高校1年から2年にかけての春休みからだ。それまでは、キットや雑誌の製作記事を真似ることが精々だった。

高校1年の正月にもらったお年玉を全額使って、8bit CPU の 8080A と 1k バイト分のメモリ IC (2102 を 8 個)買ったのが本格的な電子工作の始まりだった。なお、私の買った 8080A は、インテルのものではなく、AMD 製のセカンドソース品だった。また、買った店は「信越電機」と言い、現在の秋月電子通商の前身である。

当時のトラ技やインターフェース誌には、6800 を使った記事はあったが、8080A を扱った記事は少なかった。しかし、高校生の経済力では、6800 は高価で購入できず、8080Aそれもセカンドソースが関の山だった。
雑誌の製作記事通りに作ることは諦め、オリジナルの回路を設計することにした。もちろん、多くの雑誌の製作記事を参考にし、それらを寄せ集めたような回路だったが、それでも世界で一つのオリジナル回路であることは違いなかった。今考えれば、メモリの読み出し書き込みタイミングなど、計算してないに等しい酷い回路設計だった。
この時、オリジナルの回路を設計して、部品レベルから作って本当に良かったと思う。お金が無かったから仕方なくやった事だが、自分で設計し製作したものが動いた事で、自信を得ることができた。

回路製作は、春休みに行ったが、半田付けの量が多くて、結局春休みを大幅に逸脱して計3週間かかった。この時、私だけでは終わらず、父にも手伝ってもらった。
父には色々とコツを教わり、また、ルールを決めたりした。例えば、IC の向きは全てそろえる。コンデンサーの数字は上下が合うように並べる。電源のプラス側は基板の上(向こう側)に、グランド側は下(手前側)に配置する。電源プラスを赤い配線、グランドを黒い配線にするのは当然として、アドレスラインは青線、データは黄線、それ以外の信号線は緑または灰線にする。基板の左から入力され右に出力されるように配置、もしくは左側にCPU、右側にメモリ、更に右側に IO と言う順に並べる。アドレスやデータラインは、基板の下(手前側)に最下位ビット、上(向こう側)に最上位ビットが来るように並べる。
こう言ったルールを決めることで、何か不具合があった時にエラーが発見しやすくなる。これらのルールは、30年経った現在でも守っている。

このコンピュータは奇跡的にも動作した。時期的には、TK-80 発売のすぐ後、また、スティーブン・ジョブスやビル・ゲイツに遅れること、僅か2年程度だったようだ。東洋の一高校生としては善戦したと言えるだろう。

半年後、16進キーとLEDを付加したコンピュータを私の属する数学部の展示の中で出展した。

数学部と聞くと、マイナーで暗いクラブをイメージするかもしれない。しかし、うちのクラブは「明るい数学」がモットーで、私がコンピュータを出展する前の年、高校1年の時の文化祭では、全校生徒の出し物中、最優秀賞を取ったくらいだ。この年の文化祭で、数学部を越える人気を博したのは、既にプロであった小田和正(当時はオフコース)のライブコンサートだけだった。数学部のようなマイナーと思われるクラブが、小田和正と人気を競い合ったと言うと信じられないかもしれないが、事実なんだからしょうがない。

高校2年の時の文化祭に出展した我がコンピュータは、対人オセロを行った。メモリが1キロバイトしかないので、256バイトで表示プログラム、512バイトでオセロプログラム、残り 256バイトがデータエリアに使った。プログラムはもちろん全てハンドアセンブルの機械語だ。今考えると、よくそんなプログラムを作ったものだと思うが、人間相手に、それなりの成績を残した。当時は、オセロに限らず、コンピュータとゲームを対戦すること自体、極めて珍しかった。

この年の数学部の展示は、2年連続の最優秀賞こそ逃したが、そこそこの人気は博したようだ。
なんと、文化祭の終わった後の帰宅時、隣の女子校の生徒に駅で待ち伏せされて花束をもらったのだ。
私は数学部の副部長だったので、それなりに目立って居たらしい。
中学高校の6年間男子校に居た私にとって、中高時代の唯一の甘い思い出である。これがマンガや小説なら、恋に発展するのだろうが、現実はそうはいかない。残念ながら、後日談は一切無い。
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